ひといろ

舞台の感想とか推しの話とか

科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶

科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶品川プリンスホテル ステラボール 7/26マチネ


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とにかく千秋楽まで何事もなく無事に終えられたこと、何よりでした。
実はTwitterで通知が来るたびにビクビクしてた私…(笑)

 

今回は「科白劇」ということで「科=しぐさ」「白=せりふ」で表現するお芝居でした。
発表があった当初は朗読劇的な雰囲気になるんだろうかと思っていたら、まぁいつもどおりの「刀ステ」!!

初登場のキャラクターもみんな再現度が高いし、「本当にこれを2週間弱で??いつも1ヶ月くらい稽古があって仕上げるものを2週間弱でここまで仕上げたのか!?」ってちょっとびっくりするくらい。

厳密に言うといつもどおりなことはあまりなくて、接触を限りなく減らした演出、OP・EDの歌唱・ダンスなし、マウスシールド着用…とかなり制限があるものでした。
でもあの刀ステの雰囲気はそのままに、今この時だからこそやれるものを届けてくださったのだということを強く感じました。

そして講談師を“特殊な刀装”という設定で組み込んで、戦闘のシーンを講談で盛り上げるというものもすごく新鮮でした。でもそれがとても刀剣乱舞という作品の世界観とマッチしていて、作り手側は本来の刀ステ演出が出来ないことに悔しい気持ちがあるのだろうと思いつつ、こんな状況だからこそ生まれた演出を観ることが出来たのは、イチ観客としてはとても演劇の可能性を感じるものでした。

 

本当はこの改変の物語について色々書こうと思ってはいたのですが、今回は純粋に作品としての感想を書くのが難しいので、書きたいと思ったところだけピックアップして書くことにします。

 

 

今回、観客側の感染拡大防止策はもちろんのこと、舞台上の演者もマウスシールドをした上でソーシャルディスタンスを守った演出になっていました。

今公演をやっているどの作品も「密」にならないよう気を配ってはいるだろうけど、あそこまで徹底して演者同士の距離を取っている作品はあるのだろうか…と思ってしまうほどです。

立ち位置も舞台セットの上段・中段・下段を使い、演者同士の距離を取る、対面での芝居を避ける。

そして映像だと分かりづらいのですが、出捌けも極力袖を分けてしており徹底的に接触を避けた導線が引かれていました。

刀ステ名物の「殺陣」も演者同士の接触を避けるため基本的にはバックのスクリーンに遡行軍を映し、それぞれ刀剣男士が一人で立ち回りをする。
ちなみにこの戦闘シーン、いつもより照明演出が強くて、サスを効果的に使うことで躍動感を出していたのだろうと思います。

本当にこのサスがめっちゃくちゃ!!!キレイでして!!!ぜひ引きの映像で見ていただきたい!!!!(いつものごとく照明への熱い思い)

※ちなみに「サス=サスペンションライト」のことで舞台上にあるバトンと呼ばれる装置に吊られている照明のことです。

 

「今はこういう演出じゃないと安全性を確保してできない」は、裏を返せば「今だからこそ見れる演出」でもあるわけです。

そういう意味では冒頭で書いたとおり「これはこれで作品として面白いな」と思ってしまったのですが、コロナ以前の作品の映像を見ていると「密」だからこそ生まれたものがあり、言葉だけでは表現しきれない、身体の接触から生まれる芝居もあるので、そういうものがどうしても表現として難しくなるのは心苦しいなとも思ってしまう自分もいます。

 

公式から出ている稽古から開幕までのドキュメンタリー映像はこちら。


【ドキュメンタリー】科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶 ※“綺伝 いくさ世の徒花”に取り消し線入る

 

そして歌仙役の和田琢磨さんはじめ、演者の皆さんの大千秋楽カーテンコールでのお話。

特に和田琢磨さんについては、今まであんなにも言葉を詰まらせながらお話しされる姿を見たことがなかったので、最後の挨拶にとても心打たれました。

ラジオでも和田琢磨さんが仰っていたのですが、今回メインに同年代のキャストもいなければ出演回数重ねたキャストも少ないんですよね。その上、2週間弱という短期間で仕上げなければいけない、常に感染に気をつけなければいけない、そんな公演の座長という重責たるや…。

本当に「お疲れさまでした」の一言に尽きる。

 

おまけのオタクの叫び

山姥切長義~!!!!!私はこういう長義が観たかったんだ~!!

「右の頬を殴られたら…?」のくだりとか、脚を組んで椅子に座る姿とか、THE 長義!!!!

ガッツリ戦う長義が見れて嬉しかった。あと歌仙が敵に押されている時に颯爽と駆けつけ「遅れてすまない!」と助太刀する姿のかっこよさたるや!!!!!!

正直慈伝の長義くんはコンプレックスの塊だったしコミュニケーションも上手く取れていなかったから、改変で難なく部隊のみんなとコミュニケーションを取れていてびっくりしたのはここだけの話(笑)

梅津くん、4月も5月も出演する作品が中止になっていてツイートでも目に見えるほど落ち込んでいたので外野ながら心配していたのですが生き生きと芝居しているのが見れて私は安心したよ!!!!(お前は梅津の何なんだ)



歌仙さんについては、ここまで感情を表に出す歌仙さんを初めて見たなと思いました。
今までの歌仙さん、人見知りゆえの不器用さもありましたが、わりと他の仲間たちを諭したりする役割をしていたことが多かったと思うんです。
でも忠興様、ガラシャ様のそばで温かく見守り「三斎様」「玉様」と呼ぶ姿は本当に元主とその奥方を愛していたのだなと。

ゆえにガラシャ様の最期のシーン、あんなにつらい叫びを上げながら斬り合うところも、涙しながら自分の袖で刀を拭うところも言葉を選ばず言うのであれば「歌仙らしくない」のかもしれないのですが、初めて歌仙さんの中心の部分を垣間見た気がしました。

個人的お気に入りシーンは「無作法者がぁ!!!」で刀を振り下ろすところです。

私の初期刀なんですがこの刀ステでより歌仙さんのことが好きになったし、久しぶりに自本丸に帰還しました(笑)

 

ガラシャ様、思わずステラボールに大劇場の大階段の幻影が見えた。

七海ひろきさん、宝塚退団後初めて女性役としての出演、かつ刀ステ初の女性キャストという役どころだったということで色々大変なこともあったのかもしれないと思うのですが本当に本当に素晴らしくて。
華がある人ってああいう人のことを言うんだなということを強く感じました。

もう何よりも立ち姿が美しいんですよ。出演者の中で唯一の女性というところの話ではなく、本当に姿勢が良いし立っている姿に自信が満ち溢れていて…。あまり性別で括るのはナンセンスだと思ってはいるのですが、屈強な男たちの中で埋もれることのない、女性ゆえの力強さを感じるガラシャでした。

 

ここに書いていないキャラクターもどれも本当に魅力的で、今回のメンバーで「綺伝」を観れる日が来ることがとても楽しみです。

 

 

この先どうなるんだろうと絶望していた4月、5月。
手探りながらなんとなく兆しが見えてきた6月。
細心の注意払いながらも徐々に動き出した7月。

 

灯火を消さないでいてくれてありがとう。