ひといろ

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ドラマ感想文:2gether

CS放送を見れる環境が整って、たまたまLaLaTVで放送がスタートするというのを目にしたので見てみることにしましたタイのBLドラマ「2gether」(タイ語表記: เพราะเราคู่กัน)。

原作はタイの同名小説。本編が全13話で1話 約50分(最終話だけ拡大版)。本編が放送された同年に続編として「Still 2gether」が全5話 1話 約60分で放送。さらに放送翌年には劇場版が制作されています。

 

www.c7-2gether.com

なんだい、このとてつもなく砂糖を吐けそうなハッピードラマは!!!!

そして主役2人のお顔が良いこと良いこと…。
それだけで目の保養ですね(あけすけな感想)。

 

最近、「あの時まったく興味なかったのに蓋開けたら面白すぎて沼にダイブ」案件が多すぎませんか…。

 


www.youtube.com

 

<多分こんな人におすすめ>

・純度120%の恋愛ものを求めている人
・音楽を聴くことが好きな人
・疲れが溜まっていて癒やされたい人
・青春を感じたい人

 

個人的満足度 ★★★★★(5)
→サラタイよ、永遠なれ…!!!!

 

<多分こんな人におすすめ>という欄に「BLが好きな人」というのを書かなかったのは、BLに馴染みがない人にこそおすすめしたいドラマだからです。
キスもハグもあるから苦手意識を持つ人もいるかもしれないのですが、それ以上にこのドラマが持つ「愛」を感じてほしいのです。

 

そもそもBLドラマ以前にタイドラマに馴染みがなかったので、ついていけるのか…という不安もあったのですが1話からテンポが良いし面白いしで非常に吸引力が強かったです(言葉がまったく分からないので常に字幕から目が離せないんですけど 笑)

やっぱラブコメしか勝たん…。(ラブコメをひたすら摂取したい衝動にかられている人)

幸せすぎて泣いちゃったよ。幸せでも泣けるんだね。

 

「結局顔の良い男同士の話なんだから女性向けなのでは?」という言葉も見かけた気がするけど、この顔の良さには抗えないし(正直すぎる感想)、でもこの作品の魅力は二人のピュアな恋模様なんですよ。純度120%くらいの恋ですよ。

 

思い返せば劇的な何かが起こるわけではないし、一度上手くいったと思いきや最終回まで結構ウジウジするので見る人によってはイラッとするかもしれませんが、「ニセの彼氏になってよ」ってスタートから徐々に変わっていくタインとサラワットの関係性が良かったです。

何よりも思いの外サラワットがグイグイ行くのが良いですね。愛に満ちている姿を見るだけで幸せになるし、しかも後半でサラワットの秘密が明かされていくところでもう悶絶ですよ。「サラワット、お前…お前…!!」って思わずTVの前で頭を抱えた(笑)

2人の距離が近づくたびにサラワットの表情が柔らかくなって笑顔も増えていったところもキュンです。

「落ちるまでキスするぞ」と言いつつ、軽いスキンシップみたいなキスしかなかったのにStillの最終話でしっかり愛のこもったキスシーンがあったのも最高でした。
幸せ詰まりすぎていた…。なんだいあの神シーンは…!!!!!

タインはやや思い込みが激しくて、「もっとコミュニケーション取ってくれ!コミュニケーション不足のせいで拗れてんだよ!!!」ってことが何度もあったけど、最終的に可愛い奴だなという感想に行き着いてしまう。
なんだろう、タインってすごく母性本能くすぐられるキャラクターですよね。サラワットが世話したがる気持ちがものすごい分かってしまう(笑)
続編のStillでサラワット恋しさに涙流すシーンは一緒に泣きました🥺タイン、めっちゃサラワットのこと好きじゃん…。

 

私、そこまでBLドラマを見た経験がないのですが、2getherを見ていて思ったのが本人も周囲も「男が男を好きであること」をオープンにしている人が多くて、かつ誰もそれを否定する人がいないんだなということなんです。
日本のBLドラマだと少なからず「この思いを隠さなきゃ」という方向性になることが多いのかなと思うのですが、お国柄なのか「俺は女が好きなんだ」という表現や「自分は男が好きなのか…?」みたいな戸惑いの描写はあっても、同性に好かれることに対して嫌悪する描写が、少なくともこの作品ではなかった気がします(他の作品ではあるかもしれないけど)。

でもオープンにする人もいれば、したくない人も描かれていて「オープンにするかは人それぞれ」というセリフが、続編でサラワットの口から出てきたのも良かったなとも思いました。

とにかくね、出てくる人がみんなが優しいんです。癒やされます。
タインもサラワットも周りの友達がめっちゃ良い子たちだし、それぞれの恋模様も愛に満ちていて幸せ。
個人的に、タインの友達であるフォンがお気に入りです。フォンがタインにかけてあげる言葉ってどれも核心をついているし、タインを友として大切に思うからこそ出てくる言葉なんですよね。

あと最初はタインにとっては厄介者だったグリーンがね、可愛くて仕方ないですよ(笑)私と友達になってほしい!笑

 

そしてこの作品と「音楽」は切っても切れないくらい、作品を構成する中で大切な要素のうちの1つなのですが、どの曲もサラワットやタインの心情にリンクしていて沁みます。

公式で挿入歌の日本語訳が出ているので、ぜひこちらにも目を通してほしいです。もうこの歌詞カード読んでるだけで泣けるし口から砂糖が出てきそう(←)

https://www.c7-2gether.com/_files/ugd/4071c1_bdd674e9133d457cac151cd339faa2b3.pdf

 

決して私が愛されたわけでも愛したわけでもないのに、Stillまで見終わったあとにすごく「愛したし愛されたな」って気持ちで満たされてハッピーになれるドラマでした!!(何を言っているか分からないだろうが本当にそういう気分なんだなこれが…)

 

あと恋愛においてSNSがかなり重要な役割をしているのはタイの文化なのかな?という発見もあり、日本のドラマとの描写の違いも楽しめて楽しかったです。インスタとFacebook文化なのかな?Twitterみたいな描写はなかった気がする。

おそらくスポンサーなんだろうけど特定の飲み物・食べ物がアップになるシーンがあって、それも楽しかった。あれは普通に買いたいって思っちゃうよね。日本でも買えるなら買ってみたいな。

 

楽天TVなら第一話だけ無料で公開しているので、雰囲気掴むのにおすすめです。

2gether | 動画配信/レンタル | 楽天TV

 

 

この「2gether」という作品は“日本におけるタイドラマブームの火付け役”と言われるほどの作品だそうですが、当初はYouTubeで公開されており有志が字幕をつけることによって、口コミで徐々に日本でも人気に火がついていったようです。当時私も布教ツイートを目にした記憶があります。

でも日本で配給が決まった結果、ジオブロック*1され日本ではYouTube上で閲覧出来なくなりました。これの是非は色々あるでしょうが、ひとまずそれは置いておきます。
でもこれ、現地で放送されたのが2020年2月~5月で2020年6月に日本の会社が配給権を取得して7月31日から有料配信が開始されたって、海外作品にしては爆速の展開だと思うんですよね…(中国ドラマの日本輸入でいつも待たされている人)。むしろよくこの短期間で日本語字幕つけて出せたなと感心するレベルです。

<参考記事>
タイBLドラマ『2gether』が日本に初上陸!でもファンがガッカリなワケ(堀 あきこ) | 現代ビジネス | 講談社(1/8)

 

そして実はタイ国政府観光庁が公式で「タイBLに恋したい!」なんてキャンペーンをやっていると知ったからには仰天しました。政府観光庁公式だぞ…。

twitter.com

タイ、LGBTに比較的寛容なイメージがある国ですが、調べてみるとタイでパートナーシップ制度が承認されたのは2020年と比較的最近なんですって*2。まだ国会で審議されている段階なので、我々が思うほど寛容な社会でもないのが現実なのかな。

東洋経済の記事中にはタイにおけるBLドラマの視聴率に関する記載があって、同記事によると2019年には5%だったものが2020年3月期には34%に成長したそうなのですが、もしかすると、そういったパートナーシップ制度との関連性もあるかもしれませんね。
それにしても視聴率の伸び凄すぎないか?って感じですけど。

タイのLINE TVでは2016年からBLドラマを放映し始め、現在までに33本を放映。同TVのカノップ・スパマノップ氏は「2019年のBL番組の視聴率は5%だったが、2020年1~3月期はそれが34%に成長している」と、BLシリーズがもはや欠かせない重要コンテンツであることを強調している。

<引用>
タイ発「BLドラマ」が大ブレイクする納得の事情 | アジア諸国 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 

そう考えると昔からBL作品が豊富に流通している日本は、ある意味どの国よりもこのジャンルにおいては寛容とも言えるのかもしれません(あくまで創作物を楽しむという点でだけ考えると)。もちろん、まだまだおおっぴらに言えない雰囲気はありますし、自分自身もあまり口外しないタイプだし、このジャンルを好きでない人も多いとは思いますけどね。
ただ日本でも「おっさんずラブ」が転換期となってBLドラマ作品が徐々に隔たりをなくして来ているのかなという兆しは感じています。でもBL作品はあっても女性同士を描いた作品の数はあまりなさそうなので、あれば見てみたいなとも思うんですよね…。やっぱり難しいのかな。

 

なお、サラワットを演じたBrightとタインを演じたWinは、タイ版の「花より男子(F4 Thailand/BOYS OVER FLOWERS)」にそれぞれ道明寺役と西門役で出演とのこと。
カップルを演じた二人が別作品では悪友として共演するのは、なんとも不思議な感覚ですが、こちらも面白そうなので見たら感想文をアップしようかなと思います!
(ちなみに過去見た花男の海外版は韓国版が好きでした)

 

↓ドラマの世界観に浸りたい人向けOST

*1:特定の地域での視聴を制限する機能

*2:アジアで初めて同性婚を認めたのは台湾で2019年の出来事でした