知ったつもりでいるけれど何も知らないので
先日、某ムーミンの住まう地に行った時にスナフキンの【あんまりだれかを崇拝したら、ほんとの自由はえられないんだぜ】という言葉を目にしてからというものの、スナフキンの名言をひたすら読み返している私です。
本当に唐突な話なんだけど、芝居ってもちろん技術が物を言う時もあるんだけど、自分の内側にないものはリアリティを持って表現出来ないんだよね(これは私自身、声優養成所の体験でも言われたことがある)。
空想(妄想)を上手く体現出来る人もいるのですべてにそれが当てはまるわけではないんだけど、基本的には「その人自身の経験」が芝居の根底にある。
あくまで芝居の技術はその経験を色んなスケールに合わせて拡大したり縮小したり、転換したりするためのもの。
「演技って“それらしく振る舞うこと”だから肩肘張るほど特別なことでもないんだよ」なんて、ワークショップの講師の人にも言われたこともあったなぁ。
とにかく「色んな経験をしなさい」と先生方から言われる理由は多分これ。引き出しがなければ表現できるモノも自分の中に入っていないということなので。
私は役者が表現したものと観客が持っている感情とがリンクした時に「観客の心が震える」のだと思っています。
同じ芝居でも心動く観客と動かない観客がいるのは、その人がシンパシーを感じるかどうかや、その人自身の実体験・感受性によるものもあるんじゃないかな。
だから多くの人の心が動かせる役者さんは、色んな経験をして、色んな人の心にリンクできる鍵みたいなものを持っているのだと思うのです。
一般人である我々ですら「仕事で見せている姿」と「プライベートの姿」は違うので役者さんでも当然違うものなのですが、「役者」という、ある種芝居で違う人間を纏っても、自分を曝け出さなければ心動く芝居にはならないようなお仕事をしている人たちについては、「その人がどういう人なのか」という要素に注目されやすいのだと思っていて。
それは人生経験や考え方ひとつとっても、それはきっとその人が発する芝居の一部になっていると思ってしまうからなんですよね。
中には「役者なんて芝居をする人なんだからいくらでも取り繕うことは出来る(嘘が得意)」なんて言う人もいるだろけど、実際のところは分かりません…(笑)
メディアとして露出している彼らしか知らないし、表面上しか見ずに我々はその人を「こういう人」と解釈し、認識しているのは本当に浅はかで申し訳ない気持ちになることもあるんだけど、「この人はこうだよね」って理解した感じになっちゃうの、前述のとおり「芝居として表れたもの」が少なからず本人の人生経験なり考え方に基づくものだという認識があるからなんだろうと思うんです。
かくいう私も、推しのプライベートがどうっていうより、その人が幼少期からこれまでどういう風に育ってきて、どんな学生時代を過ごして、どんな経験をして、どんな未来を描いているのか。芝居に対してどういうスタンスでいるのかっというのは、かなり興味がある。
「こんなに私の心を震わせてくれた“あなた”がどういう人なのか」っていう興味関心ね。自分と近しい考えがあるのかとか、逆に自分にはないものを持ってるとか。
これ自分で言うのもあれだけどすっごく気持ち悪いと思うんだよ。
普通こんなに個人に対して踏み込まないでしょ?
そう考えると役者って改めてすごいなって思うのですよ。
そういう欲とか視線とか全部浴びなきゃいけないんだもの(受け止めるかはまた別問題だけど)。
なので私、推しに対して常に申し訳無さを抱えている(笑)
でもその人のこと、表に出ている部分だけを知って知ったようにはなりたくないし、仮にプライベートを見たとて、それもその人の一部でしかないし。
どこまでいっても他人は他人なので一生理解は出来ないと思う。
理解したと思っても理解したつもりになっているだけだと思う。
これは別に推しに限った話ではないけどね。
なので自分は「自分が受け取ったのはその人の一部」という気持ちでいたいし、自分と交わることのない相手と、「芝居」という特殊な空間で共有できる感情があったことがとても素敵なことだな、と最近思うのです。
だから私は足繁く劇場に足を運んで色んな役者さんの「生」を感じるのだなぁ。
自分の語彙はまだまだ乏しいけれど、受け取ったものをこうして最大限の「言葉」を駆使して色んな人に、時には手紙を通して本人に伝えていきたい。
「すごかった」「素晴らしかった」「感動した」
筆舌に尽くしがたい経験をした時、どうしてもこういう言葉でやり過ごしてしまうことがある。でも本当は「○○だったから良かった」だし、「××に感動した」のだと思う。
そこにしっくりくる言葉を探すことで、その作品や役者の芝居がしっかり自分の中に落ちてくる気もする。
目に見えるものがすべてではない世界で、
目に見えたものを受け止めること。
目に見えたものだけを信じること。
なんか矛盾しているようだけど結局はそうするしかないし、それがちょうど良いんだろうなとも思うのです。
私の一押し俳優さんたちのバックボーンは各種媒体で色々語られてるとは思いますが、目を通して「なるほどなぁ~」と思ったことが書かれているものがあったので気になる方はぜひチェックしてみてくださいね!
(結局は推しの販促ブログ)
<染谷俊之>
<前山剛久>
<梅津瑞樹>
【僕は自分の目で見たものしか信じない。けど、この目で見たものはどんなに馬鹿げたものでも信じるよ。】
参照:スナフキンの名言・言葉(英語も)「ムーミン」トーベヤンソン | 名言+Quotes
いや、やっぱりムーミンの世界は奥深いですな。
ちゃんと読んでみようっと。