ひといろ

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ドラマ感想文:山河令

噂の「山河令」(原題:山河令、英題:Word of Honor)を見ました!
英題の意味は「約束」ですね。原題・邦題の「山河令」よりも内容に踏み込んだダイレクトなタイトルじゃないか…!

 


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実は3月に配信開始した時に無料1話を見ていたのですが、他のドラマを優先していたのでGWにやっとこさ着手開始。

1話は「いやー設定分からんのだが???情報量多すぎない??」と、視聴を挫折しそうな気配を感じていたのですが2話以降から面白くて面白くてあっという間にU-NEXTのポイント使い切り翌月の付与まで我慢できず途中で課金&課金をしました(来月のポイントバック楽しみだなぁ~笑)。

1話45分だから気づいたら終わってます。まじで「秒で終わる」。

題材はそこそこ重い内容なんですが、序盤はちょっとクスッと笑えるようなやり取りもあって、コミカルなのも良かったです。そしてスピード感のあるアクションも多くて見応えがある。これぞ武侠モノ。

ただ中国の時代劇全般に言えることなんだけど、今回も登場人物が多すぎて名前と顔が一致せず、常に相関図片手に見たい作品でした(笑)

 

ちなみにシリーズの長さは中国の時代劇にしては良心的な36話。ここも見やすいポイントでした。50話とか60話が当たり前なので、話数が良心的なのは大変ありがたいと思いつつ、私の記憶力の問題なのか時々「あれ、急に話飛んだ?」と思うような展開の速さなのであと4話くらいあればいい塩梅だったのかなと思ったりもしました。

 

<多分こんな人におすすめ>

・美しいものが好きな人
・ミステリーが好きな人
漢詩が好きな人
・熱い男同士の絆の物語を求めている人

 

個人的満足度 ★★★★☆(4.7)
好きです(突然の告白)
  もうそれ以上の言葉がないし、言葉はいらない。見終わった後のロスが激しいんだけどどうしてくれよう…。
  そして常に画面が美しい。人も衣装も風景も美しい。特に衣装!!みんな衣装を見て!!!低予算ってなんだってくらい色々豪華。中国の低予算は日本から見ると全然低予算じゃない(笑)

 

 

これも陳情令と同じく“ブロマンス時代劇”なんですが、距離感近くてびっくりしたよ。

忘羨が何話かけて知己ムーブしたと思ってんだ!!!(前半は温客行からの一方的なムーブですけども…)

すでに6話の時点で距離感バグってたので、この先大丈夫か???って思ってたし、話が進んでもなおさら「知己とは????」と宇宙ネコの私がいた。
よくこれで検閲通ったな…笑(まぁ色々修正されているという噂だし、その後ブロマンスおよび現地のBL作品に関する環境が悪化したので後続作品全部規制されちゃったけど)

 

あ、「知己」っていうのは自分のことをよく知ってくれている人という意味です。
親友みたいなものだと思うのですが、陳情令や山河令を見るに「知己」って親友以上の関係性というか、運命を共にする相手くらいの存在ですよね。

 

周子舒と温客行の間に「恋愛要素」があるかと言われると、愛はあるけど恋ではない(※もはや恋を超えた運命共同体的な何か)ということになるので、やっぱり「知己」なんですよ。
「原作はBL小説である」ということを頭に入れて見てしまうと、どうしても「そういう風」にしか見れなくなってしまうんだけど…。

お国の事情で「ブロマンス」「知己」という描写になっているので、あまり「知己だからこそ良い」という持ち上げ方はしたくないのですが、それでもやっぱりこの絶妙な描写だからこそ心動かされる部分があるのも事実なんですよね。

そういう点では陳情令の忘羨の方が程よい距離感なので老若男女幅広く見やすい描写だなという気はします。

まぁ色々グダグダ言ってますが温周は逆にあの距離感が良いんですよ!!!!(力説)

 

引き合いに出してばかりで大変申し訳ないんですが陳情令の場合、最初に過去の出来事が出されて後から謎を究明していくパターンですが、山河令の場合は話が進むにつれて謎が解き明かされ、さらにまた深まるを繰り返すので、いつまでもハラハラドキドキ出来る展開が見応えあります。その代わりずっとソワソワして最後まで結末が分からないのが結構しんどくもあるのですが…(笑)

途中地獄だけど徐々に明るい方向へ向かっていけるパターンと、序盤はそんな素振りないのに進むにつれて地獄になっていくパターンどっちが良い?って感じです。山河令は圧倒的に後者です。

 

いやー、それにしても私の理解力がないのが悪いんだけど周子舒がどのタイミングで温客行を「知己」だと思ったんだろうね。
第9話で知己だと認めるセリフがあるんだけど、その直接のきっかけが自分にはイマイチ察しがついていない。
実際の描写を見てるとくっついたり離れたりしてケンカばっかしてるじゃんこの二人!!って思ったんだもん(笑)

 

そんな中でも18話・19話・20話・27話がてえてえの極み。
サブタイ一切見ずに見続けてたんですが27話のサブタイ何だったと思います???

「絶世の知己」

もう絆が深すぎて画面の前で思わず頭を抱えた。
ぱっと見は「師弟の不始末は師兄の責任である」という描写なんだけど(ネタバレになるので反転して見てください)、もうお互いがいないと生きていけないくらい互いが互いにとって大切な人なんだろうなってのが痛いくらい伝わってくるんだああああ!!!!

好きです(語彙力)

 

ここまで来ると「山河令」の原作「天涯客」を読みたくなるんだけど、繁体字版は絶版ということで現在は入手不可。
元々「山河令」自体が低予算で作られたこともあり、恐らくヒットの見込みがなかったということに加え、BL規制も厳しくなったが故なのかなとか思うのですが、そうなると復刊はほぼゼロの見込みでしょうね…。だから日本語訳なんて到底無理なんだろうなああああくやしいいいいい。
「改変されている」ということを聞くたび本来の温周がどう描かれてたのか気になって仕方がなくて仕事が手につかないよ!!!!

 

あとOP・EDの曲がめちゃくちゃ良いし全体的に劇伴が最高なのでそこも一緒に楽しんでほしい作品です。
検索すると歌詞を日本語訳しているサイトさんがいくつか出てくるので、ぜひ、そちらも、合わせて、ご覧ください。


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さて、ここから先は盛大なネタバレを含む感想文です。
良いかい?初見はネタバレせずに本編見るんだぞ!!!!!!!
(ここから先は書きたいことを書きたいように書いているのでまとまりは家出をしております。読みづらくてごめんなさいと先に謝っておきますよ!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

袖を断つ

「ブロマンス」でしか描けないゆえに作中には色々暗喩した描写があるよなんて話を色々なところで目にしてはいたんですが、ここですよ、ここ。

これね、何話か忘れちゃったんだけどその後も周⼦舒が温客⾏の袖を切り落とすシーンがまたあるんですよね。

ちなみに中国で「断袖(だんしゅう)」は男色の別称なんですよ。

あとはお察しくださいね。

 

含蓄ある描写

陳情令は無責任な群衆の愚かさが強く描かれた作品だと思うんだけど、山河令の場合だと「鬼」といわれる敵側にも様々な境遇があり、実は「人間」の方が「鬼」なのではと思うような所業を見せるのが上手な作品だなと思いました。
中国時代劇はアクションとか恋愛要素の他にも色々含蓄があるのも見どころですよね。
特に山河令では漢詩が多用されているのですが、漢詩の知識があまりないので、これをきっかけに触れてみようかなと思いました。

 

周子舒について

大変失礼ながら最初の方、周子舒って変装も相まって主人公のわりにあまりパッとしないなという感じがしてたんです。なのに話が進むにつれて本来の明るさだったり優しさが戻って来たのが本当に良かったなと。これはみんなから慕われるタイプですわ…。
周子舒を演じた張哲瀚(チャン・ジャーハン)さんの繊細な演技が素晴らしかった!!逆に温客行は話が進むにつれ周子舒に甘えたり弱みを見せるようになるのがたまらん。

 

サブキャラについて

どのキャラも魅力的なんだけど一番私を泣かせたのは顧湘ちゃんですよ!!!!!多分みんなそうだと思うけど!!!!!
35話は言わずもがななんですが、沈慎に殺されると覚悟を決めた上で「自分の正体を曹蔚寧にバラさないでほしい」と泣きながら告げるシーンが強く印象に残っています。
曹蔚寧に対してはツンデレな態度を取りがちなのに、曹蔚寧をとても大切に思っている顧湘ちゃん…。どうして35話であんな展開になってしまったんだ。

あと個人的に蝎王が好きです。心の中でずっと「蝎ちゃん…🥺」って思いながら見てた(笑)
必死に愛を求めていたんだよなぁ。最初は悪い人だと思っていたし実際悪い人だし最後の最後まで「お前…!」って感じなんだけど、蝎王には蝎王の苦悩があって歪んではいたけれど心根はきっと優しい子だと思うのです。歪んではいるけれど。

 

闇と光

どなたかの感想ブログで「山河令の二人は出会う前からそれぞれ暗闇にいた」って言っていたのが印象的でした。この感想を読んで「だからこそ、35話・36話の『光』という表現が際立つのか…。」って気づけたんです。
どのサイトだったか忘れてしまってリンク貼れないのが悔やまれる…。

堕ちるところまで堕ちて最初から終わりを探していた中で出会い、互いを光だと思い、一緒に生きていきたいとまで思えるようになったことの美しさたるやですよ!!!!!
そこに美学を見出してしまうことは業が深いようにも思うけどな!!!!

周子舒が自分の組織に「天窗(てんそう)」と名付けたのも「光」と関係しているので「光」は本作の中でも大事な描写なんですよね。

 

最終話について

みんなのトラウマ「35話」を乗り越えて(これについては言いたいこと山ほどあるけどちょっとまとまらないので割愛)、最終話の件。

結局メリバ*1なんか!?って最初思ったんですが、一応ハピエンなんですかね、これ。

六合心法を使ったら片方は必ず死ぬ運命であるというからには温客行は一度死んでるはずなんです。
で、EDを挟んだあとの後日談で白髪になった温客行が復活した描写があると…。

これ最初は周子舒の夢オチなのでは!?なんて思ってしまったんですが、どうやらそうでもなさそう。でも温客行が出てきたところの周子舒は「まさか…」みたいな少し驚いた表情をしているようにも見えるので、温客行の復活は周子舒にとっても予想外だったのかなと私は解釈しています。

私個人の考察(というより予想)ですが、死者をも甦らせると言われている、作中でもキーアイテムになっていた「陰陽冊」がここで活用されたのでは?とも思うんですけどね。まぁあれだけファンタジーな世界観だから生き返ってもなんら不思議ではない(考察を放棄する人)。

でもこれだけ言って良い?

それまで温客行が谷に落ちたり、莫懐陽と刺し違えて瀕死の状態になったり、温客行が死にそうになった時に周子舒って温客行の手を取れなかったんですよ。
なのに六合心法で温客行の命が尽きた時はちゃんと手を取るんです。
ここ見た時に「今度はちゃんと温客行の手を取れたね!!!😭😭😭😭😭」ってなって「これは救いがあるぞ!」と解釈したので夢オチではないと思うのです。いや、そう思わせてほしい…(笑)

ちなみに、円盤にはアナザーエンディングも収録されているそうですよ。

 

裏の主人公

この「山河令」という物語の裏主人公は「葉白衣」なのだと思います。
じゃなかったら「山河令」なんてタイトルつかないと思うんですよ。山河令牌は葉白衣が持っているんですから…。

温客行が復活して武庫に来れたのは葉白衣のおかげなわけで、しかもその葉白衣自身が六合心法を会得したきっかけは容長青の犠牲があったわけで。二人と似たような境遇だったわけだ。

すべてはこの日のためだったのだな。
“少年の日はとどまらず また新たな少年は現れる”

って葉白衣自身も言ってましたからね。

27話で袂を分かったように見えたのに味方だったじゃんよ…。もう最終話「いえしぇんべえええええええ!!!!!!!」って思わずモニターの前で叫びそうだった。

 

 

 

今回配信サイトのレンタル形式で見ていたので、ちょっと感想文も曖昧な部分が多く申し訳ない。もう一度見返し出来ないのが悔やまれる…。
もうこれは円盤買うしかないかなと思っています。

陳情令のBOX買うのに悩んでいたのに山河令は今すぐにでもポチリたいくらい理性が崩壊しているので本当、山河令恐ろしい沼…(笑)

 

*1:メリーバッドエンド。ハッピーエンドともバッドエンドとも読み取れるエンディングのこと