ひといろ

舞台の感想とか推しの話とか

りさ子のガチ恋♡俳優沼

りさ子のガチ恋俳優沼」@新宿シアターモリエール 4/24 ソワレ観劇

小説版読んでからずっとずっと楽しみにしていた再演!

26歳、彼氏なし、会社員の私が観てきたよ!!!


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GW前で仕事めちゃくちゃ忙しかったけど同僚たちに「すみませんっ!!」って頭下げて職場から駆け出した女です。

いや~本当に「よくここまで切り込んだな」って作品でした!
小説読んでるから内容分かってたけど、これ初演で観に行った人の衝撃は計り知れない。でも「推し」がいる人ならきっと避けては通れない「ファンと芸能人の関係」を考え直す機会にもなる作品なのかなって思いました。

 

ガチで沼ってる人は多分恐怖だと思うし、「沼ってる~」と言いつつこれを観てダメージを受けない人は多分まだ大丈夫なんじゃないかな(笑) 

 

以降ネタバレ配慮はなしです~
以前小説版については別途記事に書いているので作品の雰囲気を掴みたい方はこちらをご一読ください。

hitoiro.hatenablog.com

 舞台の感想

小説はモノローグが中心だから感情の動線が分かりやすいんだけど、舞台版だとあまりそういうのがない分、「徐々に迫ってくる感情の怖さ」ってこういうものなんだ~って思いました。

これは本当に小説版と舞台の大きな違いかも。

 

ガキさん(新垣里沙さん)のお芝居を観るのは「剣豪将軍 義輝」以来だったし、その時とは全然違う役柄で新鮮だった。それになんと言っても私にとってはやっぱり「娘。」のガキさんのイメージが強いので、オタクっぽい喋り方とか姿勢とかホント上手くて感動した!!!

あるある過ぎて観ててなんだろう、共感性羞恥に苛まれた(笑)

あと、アリスちゃん。もう始まる前から存在感たっぷりだったからすぐ分かったし、劇場の空気が「おやおや?」ってなる感じから演出が上手いなぁって思いました。

だって、誰だって演者が開演前に普通に客席にいると思わないじゃん??
キャーキャー言ってるところからもうお芝居始まってるなんて思わないじゃん??

何も知らない人だったら「やっばい水色のロリータ服着てるキャラ濃そうな人が足音めっちゃ響かせてキャーキャー言ってる…」って思いますやん?

劇中劇が終わった後に客電がちゃんと上がるのもすごいし、劇場の扉から出捌けするっていう“劇場だからこそできる演出”が斬新ですごく良い!

あとねー、たまちゃんは想像してたより可愛かった!可愛かったのに毒吐く感じ、あのギャップがすごい(笑)

 

それとやっぱりSNSの表現が面白かったな~。
鳥のお面の上げ下げで裏表表現する秀逸さ!

そして内容が“ガチ”すぎてこれ絶対リサーチしてるなって気しかしない。 

小説だと文字情報しかないからSNSとあまり変わりないんだけど、「セリフ」として発せられることによる迫力というか圧というか、メンタルやられる感がすごい。

 

この他にも印象的なシーンは数え切れないくらいあるんだけど、

「翔太くん大好き。私の、生きる希望。」

ってりさ子のセリフが、あのセリフのなんとも言えない感情が、その、ガキさんすっげぇなあああ!!ってなったのと同時にすごく響いたんですね。

なんだろう、あの、普通のオタク女子がよく推しに対して発する言葉なのに背筋がピーンとなりそうなくらい恐怖を感じるあのなんとも言えない感じ!!な!!!

 

 

ガチ恋”って言うと、その文字通り「芸能人相手にガチで恋しちゃってる」状態を指すんだけど、つまりは「恋人になりたい」とか「結婚したい」とか「自分だけの彼(彼女)にしたい」ってことだと思うんだよね。

でもりさ子って最初はそういう感じなくて、「その人が見れるだけで幸せ」って感じだったし、「親目線だから~」って言うくらいには自覚がなかったんだと思う。

それがちょっとしたトリガーで人間ってあんなにポッキリいくんだなって思いました。

でもりさ子は前科があるから自覚あってそこから目を背けるために「親目線」とか言ってたのかな?

でもでも小説版では「私は翔太くんに何を望み、何を欲しがってるんだろう?」って部分があるからやっぱり多分自分が「ガチ恋」だって自覚なかったのかな…。

だってあくまでりさ子の行動原理は「私を知ってほしい」だから。恋をしてるって思ってなかったんだろうね。

ラストのことを考えると相手が変わると全部リセットされるタイプなのかもと思ったりするけど…。

一番タチ悪いわ(笑)
 

あとりさ子、翔太の前にも前科があるんですが、賢護の場合はりさ子の「虚言」が元で炎上して俳優引退までいったわけですよ。

翔太はるるの匂わせでカノバレして炎上して色々あったわけですが、世に言う「炎上」にも本人に原因があるものだけじゃないんだってことを、暗に示してるのかなって感じました。

「火のないところに煙は立たない」とはよく言うけれど、オタクと切っては切れない「ネット」という存在によって「火のないところにも煙を立たせることができる」状態なんだなって。

そんな虚言や噂にファンも本人も巻き込まれて、あー、なんて疲弊する世界なんだろうって感じですね(笑)

 

 

 

「ファン」ってすごい

これを観て「ファン」って見返りなしであんなにも愛を捧げられるってすごくない?って思いました。
自分も当たり前のようにしてることだからあまり気づかなかったんだけど、お金も時間も自分自身さえも、その人のために「生きてる」って感じじゃないですか。

でもりさ子が変わったのってやっぱりどこかで「見返り」を求めちゃった瞬間が出たからなんだろうなって思う。

「見ているだけで」「応援しているだけで」幸せっていう感覚のままでいれば多分あんなことにはならなかった。

「もっと私のことを知ってほしい」「好きな気持を共有してほしい」って思い始めた瞬間がアウトなんだろうな。

後半のシーンのりさ子の長ゼリは本当にグッと来るのでたくさんの人に観てほしいなって思います。
自分は「ガチ恋」ではないと信じて疑っていませんが、りさ子のあの主張を全部聞き終わると「うーん、良く言ったりさ子!!!」とちょっとだけ気持ちがストンとします(笑)
※私は推しの視界に入るだけで緊張するし認知もあまりされたくないタイプの人間です

 

余談ですが私、結構るるちゃん好きなんですよ。
今回の元凶でもあるからオタク側からすると憎くて仕方ない存在ではあるんだけど、後半のるるちゃん人間味出てて好きです。

自分の推しの彼女があんなんだったら「匂わせする女と付き合うなんて~」って絶対どっかの誰かと同じことを言うだろうけどね!

 

そして自分の推しがキャスティングされていたら、もう、色んな意味で感情をぐちゃぐちゃにされそうだから私にもきっとりさ子の片鱗は眠ってるのかもしれないなーと震えるのでした。

 

誰でもりさ子になる可能性はあるんだよ、多分(あそこまで行くと流石にヤバイけど)。

みんながみんな、そうならないのは、うまく理性で律したり、社会生活の中でバランスを取っているから。

 

「推し事」もとい「ファンであること」について、改めて考えたいなぁと思った作品でした。

 

他の舞台作品でも「あのシーンってこういう意味なんじゃ?」とか「××さんの演技がさ!」って観劇後に感想漁って楽しいんだけど、自分に身近な題材なだけに「その人自身がどう感じたか」って感想を読むのが楽しい(興味深い)作品だなって思います。

まぁ、大半の人は恐怖に震えてるんだけど(笑)

ちなみに劇場ではそこかしこからすすり泣く声が聞こえたので、多分ぶっ刺さる人はマジでナイフで刺されたかのように刺さる内容だと思います。

私は泣くよりも圧倒されすぎて感情の整理に困りました。

 


この作品の脚本・演出をされている松澤くれはさんがお見えになっていて、終演後に戯曲を購入した際、手渡しでいただくことが出来て嬉しかったです!
なんかその時は、この行き場のない感情を伝えるにあまってあまりお話しできなかったんですけど(笑)

 

まじで映画化とかしませんか…?
あ、くれはさん。映画でも舞台でも良いので悠くんの掘り下げほしいです!笑


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戯曲も楽しく読んでいます。

パンフ買った時に引いたカードにアリス役の釜野真希さんのサインが入ってました♪

 

 

最後になりますが、カッコいいガキさんおいておきます!!(緑の衣装着てるのがガキさん

)
最近ずっとヘビロテしてる!!


モーニング娘。 『女と男のララバイゲーム』 (MV)